突撃インタビュー6 向栄堂さん
取材原稿 古川 裕梨 法学学部1年次生
阿蘇の和菓子屋向栄堂は、明治38年から創業をしている。昔からの商品「阿蘇乃白雪」という落雁(らくがん)をはじめとした多くの商品がある。今は特にあんこに力を入れており、店の一番の人気商品は「阿蘇どら」である。このどら焼きの中のおいしいあんこを作り出すためには、気温と湿度を一定にするなど試行錯誤をして、作り上げるのに3日かかる。そして昔からある湧き水「白雪の水」を使用しているので、甘すぎることもなく、あっさりとしていて一粒一粒小豆の甘みが出ている最高のあんこなのだ。
今の店主である佐藤法志さんは四代目である。佐藤さんは、店を継ぐ前は企業で営業をされていた。だが三代目当主であるお父様の体調不良とともに、百年以上創業している和菓子店を続けたいがために、後を引き継ぐことを決意。しかし、肝心なあんこ作りを教えてもらう前にお父様が他界されたため、自己流であんこを作っていた。ある日、試作を繰り返した大量のあんこを捨てながら、亡くなったお父様のことを思っていた。すると次の日、熊本市内で和菓子屋をされている6人の和菓子職人の方々が偶然にもお店に来て、それがきっかけで菓子作りを教えてもらった。まるでお父様に思いが通じたのだと思ったとのこと。
店主の佐藤さん(右端)とスタッフのみなさん
向栄堂ではあんこの他に、「葛ソルベ」という商品にも力を入れている。溶けないアイスということで、時間が経っても溶けずやわらかくなり、食べたことのない食感のアイスだった。味は桃、ミカン、ブルーベリーがあるらしい。高齢者の方でも気軽に食べられる。なので、若い年代からお年寄りの方まで人気がある。他にも、以前に美容系の営業をされていたときの知識を生かしたトマトやアサイーのスムージーは、期間限定ではあるが、おしゃれで女性に人気の商品である。誰もが楽しめる、みんなが喜んでくれる、そんな商品を目指しているのだと思い、商品への情熱を感じた。今後の経営に関して、佐藤さんにはお子様がいらっしゃらないので、会社を大きくして若い社員さんが引き継いでくれたらとおっしゃられていた。
熊本地震後に観光客が減ってしまったが、「とり宮」オーナーの杉本さんを中心に商店街のみんなで連携して、昔までには至らないが、徐々に観光客が増えつつある。来てもらった人ががっかりしないような商店街であるし、自然豊かで水もきれいな場所なので、観光客が徐々に増えていくことを願っている。さらに、外国の方にも日本の和菓子のよさを知ってもらい、阿蘇の良さが全国的に知れわたってほしいなと思う。
葛ソルベ おいしくいただきました!
TEL0967-22-0111