神戸学院生が阿蘇を応援するブログ

熊本地震ボランティアをきっかけに始まった取材活動

突撃インタビュー7 etu さん

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店主の橋本さん

取材原稿

大内田 唯 グローバルコミュニケーション学部1年次生

青松 大熙  経営学部 1年次生


 商店街の中心に「etu」とぶら下がった看板が一際目立つおしゃれなお店があった。店内に入ると、アンティーク雑貨に囲まれ、まるでタイムスリップしたかのような空間。昭和レトロのような雰囲気が漂い、訪れるお客さんを魅了する。古道具、インテリア雑貨、家具、小物など取り扱いは様々。世界各地で集められた雑貨がこの阿蘇の小さな商店街に集結した。etuのアンティーク雑貨の販売は、大切にされてきた雑貨の「次の持ち主」探しと考えている。店主の橋本美樹さんは福岡や佐賀、またはネパールやチェンマイ、ソウルなど海外にも多く出向き道具を集めている。学校や教会などの家具も自分の足で出向き買い取っているのだ。だから一つ一つの古道具の橋本さんの思いは計り知れない。

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木製の雑貨が並ぶ

 熊本地震の最大震度は6強。熊本は壊滅状態に陥った。そんな中でも幸いetuの被害は少なかった。お店は地震が起きて25日目から営業を再開した。地震が起きて1年半でなんと20年分の買取をした。震災で倒れてしまった建物の解体時、捨ててしまう雑貨や家具を買い取り、必要としている「次の持ち主」へと販売する。大切にしてきたものを、必要としている方がまた大切に使用する。そのお手伝いとして「捨てるはごみ、拾うは宝」というモットーで古道具の販売をしている橋本さんはとても素敵だ。

 そんな橋本さんはかつて不動産関係の仕事をしていた。しかし、小さいころから古いものが好きで集めるのが趣味であったため将来古道具を取り扱うことをしてみたいと思っていた。そんな中、10年働いた会社が倒産した。橋本さんは「小さいころの夢をかなえるなら今だ。今しかない」と思い、市役所で働きながら橋本さんがイメージしている古民家を探した。探し始めて3年が経ち、ようやく阿蘇で見つけることができた。

 もともとその建物はかつて洋裁学校として昭和初期に建てられたもの。橋本さんのイメージとその建物は一致した。店の名前も洋裁学校時代に校長先生だった方の名前を拝借した。そのあと、さらに賑わいのある商店街に移転し、今に至る。初めの1年間は、訪れるお客さんは1日に数人程度(ゼロの日も!)であったが、橋本さんの人柄や商店街の方たちのおかげもあって賑わいを見せるようになった。

 

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 橋本さんは「お客様とのコミュニケーションを大事にしている」と言っていた。だから今でも根強いファンがいるのだと思う。最後に店主の橋本さんから私たち学生に向けてアドバイスをくださった。「お金がなくても、やりたいと思うことを、若いうちに早いうちにどんどん挑戦していってください」とのこと。金銭的、時間的、様々な問題がある中で、自分のやりたいことをあきらめてしまうのはもったいない。

 橋本さんのアドバイスで私たちは、将来への不安が少し和らいで、勇気をもらえた気がした。皆さんも阿蘇に行くことがあれば、ぜひetuを訪れてはいかがだろうか。なんでもない毎日に、小さな何かをもたらせてくれるものや道具をetuさんで探してほしい。アンティークは「巡り合わせの逸品」etuを訪れたすべての方に良い「巡り合わせ」がありますように。

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  etu

  熊本県阿蘇市一の宮宮地 1859

  TEL090-3665-8290